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あおえ動物病院

2014年3月28日に、岡山県岡山市北区青江に新規開院した動物病院のブログです。

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犬の会陰(えいん)ヘルニアについて

年末に手術させて頂いたコのお話です。



会陰ヘルニアというのは、お尻の周りの筋肉が薄くなってしまい、そこに直腸が入りこんで便が出づらくなってしまう病気です。



この病気は、圧倒的に去勢していないオスがなりやすいです。



今回手術させていただいたコも、14歳のM.ダックスで、未去勢のオスでした。



IMG_1850.jpg



うまく便が出せないので、排便時にずっといきみが続き、しまいには直腸から出血するようになってしまっていました。



14歳という年齢は、高齢で手術を躊躇する年齢でしたが、繰り返される排便時のいきみというのは見ていてあまりに辛く、本人も相当苦しそうな状態でしたので、手術を提案させていただきました。



ところで、会陰ヘルニアは昔から手術をしないと治らない病気として知られており、手術も多くの術式が考案されています。



似たような病気に、以前手術させていただいた、鼠径ヘルニアがありますが、手術時に気をつけないといけない重要な血管や神経が多いのと、再発する確率が高いので、会陰ヘルニアの手術の方が難易度が高いです。



IMG_1880.jpg



これは獣医の外科雑誌ですが、術式もこんな感じで、各大学によってもいろいろなやり方があり、それぞれの術式にメリット、デメリットがあります。



ただ、成功率はどれも90%くらいで、10%くらいの再発率と言われています。



今回は内閉鎖筋をフラップする術式を行いました。



術前の写真。



IMG_1855.jpg



左側の筋肉が薄くなっているせいで、便のたまった直腸や、腹腔内脂肪が脱出して盛り上がっています。



皮膚を切開し、ヘルニアの穴を確認して、穴を塞ぐための筋肉のフラップを作成します。



IMG_1857.jpg



内閉鎖筋という筋肉が、骨盤の骨の上に張り付いて存在しているので、骨ノミという器具を使って、筋肉を剥離していきます。



作成したフラップをつかんでいます。



IMG_1858.jpg



ヘルニアの穴を、周りの筋肉や作成したフラップ、靭帯を使って、縫合糸をかけて塞いでいるところです。



IMG_1860.jpg



塞ぎ終わったところです。



IMG_1861.jpg



術後の写真。



IMG_1864.jpg



筋肉の脆弱化を食い止め、再発を予防する為、去勢手術も同時に行いました。



IMG_1866.jpg



術後、順調に排便できており、元気食欲も問題なかったので、大晦日に退院となりました。



本当によかったです。



後は再発しないことを祈るばかりです。



こんな感じで、会陰ヘルニアになってしまうとかなり大変な手術が必要になるので、若いうちに去勢手術をして、病気の予防をしておくことをオススメします。
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*** COMMENT ***

NO TITLE

痛々しい つらかったでしょうね

でも 治って ほんと よかったです

去勢は 大事なんですね 勉強になります☆

NO TITLE

ポッケ&さくらママ様

コメントありがとうございます。
去勢手術がこういった病気の予防になることは、意外と知られていないので、少しでも多くの方に知っておいていただきたいと思います。

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