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あおえ動物病院

2014年3月28日に、岡山県岡山市北区青江に新規開院した動物病院のブログです。

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そして再び

先週末はなぜかペットホテルが盛況だったり、手術の波が押し寄せてきたりと、色々とさせて頂いておりました。



さて、今回は2kgのチワワのコのお話です。



前回の子宮蓄膿症のコが退院した次の日のこと。



急に陰部からの出血があり、元気がないとのことで来院されました。



もしやと思い、エコー検査をすると、やはりというか、子宮蓄膿症でした。



手術を提案したところ、飼い主様から若い頃に心臓が悪く、避妊手術ができないと言われたとのことでしたので、念のため聴診と胸部X線検査で心臓の評価をさせていただきました。



結果、麻酔に耐えられると判断したので、手術をさせていただくことになりました。



手術中は前回のように徐脈になることもなく、心拍も安定しており、無事終えることができました。



手術直後の様子。

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小さい体でよく頑張ってくれました。



摘出した卵巣と子宮。

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今回は右の子宮に局所的に膿みがたまっていました。



3日間の入院治療後、無事に退院となりました。



抜糸の再来院時にはすっかり元気になった様子でした。

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本当に良かったです。



しかし、ここ半年ほど子宮蓄膿症は診ていなかったのですが、重なる時は重なるものですね。。。

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忘れた頃にやってくるものは

最近は暇な穏やかな時間が流れており、昨日の午後はゆっくりと休むことができました。



久々に息子と戯れることもでき、SAN値を回復したところで、今朝はチョコレートを誤飲してしまったワンちゃんを診させて頂きました。。。



前回のブログを読んでいて欲しかった(泣)



幸いすぐに連れて来て頂き、催吐処置をさせていただいたので、大事には至りませんでした。



誤飲はさせないことが一番ですが、もし万が一誤飲に気付いたら、すぐに病院に連絡し、指示を仰いでくださいね。



さて、そろそろ本題に入りたいと思います。



11歳のジャックラッセルテリアのコのお話です。



最初、耳に出来たしこりを主訴に来院されました。



そのしこりは、針吸引による細胞診で異常な細胞が認められなかったため、様子をみることにしたのですが、3日後にまた来院されました。



実は、最初に来られたときから下痢をしていたらしく、なかなか治らないとのこと。



そして、最近になってまた生理が始まったと言われました。



うーん、これは、、、と思い、エコー検査をさせていただくと、子宮蓄膿症になっていることが判明しました。



なので、その日のうちに手術をさせていただき、無事に乗り切ってくれました。



手術直後の様子。

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本当に頑張ってくれました。



摘出した子宮がこちら。



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たくさんの膿がたまっておりました。



ただ、このコの場合、気がかりなことがありました。



それは手術中、ずっと徐脈(心拍数が低い状態)が続いていたのです。



普通、麻酔をかけると徐脈になることはよくあることなのですが、そういったときはアトロピンを投与すると、心拍数は上昇します。



ただ、このコの心拍数は全くアトロピンに反応しませんでした。



なので、もしかしたら、子宮蓄膿症以外の病気が隠れていて、思っている以上に状態が悪いかもしれないと、心配していたのですが、、、



そんな心配をよそに、手術後も次の日には食欲旺盛で、3日間の入院後、無事退院となりました。



高齢で、麻酔時アトロピンに反応が乏しい徐脈が起こる疾患として、甲状腺機能低下症を疑い、念のため甲状腺ホルモンを測ったのですが、正常値で問題ありませんでした。



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1週間後、抜糸で来院されたのですが、元気いっぱいな様子でした。



本当に良かったと思います。



もしも僕が「神の眼」を持っていたら、最初に来院された時点で子宮蓄膿症が見抜けたのかもしれませんが、まだまだ若輩者でそこまでの域には達していないので、些細なことでも何か気になることがあれば、遠慮せずにおっしゃっていただけたら嬉しく思います。

バレンタインデーということで、、、

動物病院にとっての2月は、暇になるというイメージがあったのですが、予想に反して前半は手術が多く、充実した日々を過ごさせていただいておりました。



しかしその波も終わりを迎えたようで、昨日は家の布団でぐっすり休ませて頂き、英気を養うことができました。



さて、ブログを休んでいる間も、差し入れをたくさん頂いてしまいました。



感謝の意を込めて、ご紹介させていただきたいと思います。



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猫の置物。



飼われている猫ちゃん4匹を診せてくださっていた飼い主様がいらっしゃったのですが、残念ながら、ご都合で他県に引っ越されることになりました。



引っ越される前日に、治療経過を書いた紹介状をお渡ししたのですが、その時に頂きました。



短い期間でしたが、当院を気に入ってくださり、本当に有り難いと思います。



他県でもお体に気をつけて頑張って頂きたいと思います。



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人生、ニャンとかなりますよねっ!



これは、別の飼い主様から頂きました。



名言好きなので、一気に読み終えてしまいました。



名言に添えられている猫ちゃんの写真が、シャレが効いていて、とても面白かったです。



そして、世間ではバレンタインデーということで、チョコレートを頂いてしまいました。



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独身時代にモテたかった(笑)



ちなみに、この時期チョコレートにふれあう機会が増えると思うのですが、わんちゃんには毒になりますので、誤食には充分お気をつけください。



その他にも、、、



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皆様のお心遣い、本当に感謝しておりますm(_ _)m

犬の乳腺腫瘍について

久々のブログ更新になってしまい申し訳ありません。



ここ最近は有り難い事に毎日手術をさせていただいており、「昼休めず➡夜にどっと疲れが。。。」というサイクルを繰り返しておりました。



だんだん家に帰るのも億劫になってきております。。。



さて、言い訳はこれぐらいにして、本題に入りたいと思います。



先日、乳腺腫瘍の手術をさせていただいた、M.ダックスのコのお話です。



1年前に乳腺腫瘍が初めて見つかり手術、その後3か月前に乳腺腫瘍が再発し、再手術をされたとのことでした。



しかし、新たにまた再発したとのことで、来院されました。



犬の乳腺は計5対あるのですが、拝見すると、これまでの手術で左右の第3から第5乳腺を摘出されているようでした。



そして、新たに再発した乳腺腫瘍は、右の第2乳腺に2カ所、左の第3乳腺あたりと思われる部分に1カ所ありました。



まだ避妊手術をされていないとのことでしたので、出来る事なら同時に避妊もしてあげた方が今後の再発を少しでも抑えることができるとお話しし、手術を検討していただくことにしました。



その後、メールで飼い主様から次のような質問をいただきましたので、回答させていただきました。



普通の飼い主様が手術に対して疑問に思われている内容もあると思いますので、載せさせていただきます。



「先生、先週は診察ありがとうございました。

あまりに再発が早いので分かっていてもショックで診察の時に聞きたい事が聞けず帰ってしまいました…。

聞きたかった事を聞きたくてメールをしましたm(_ _)m

父とも相談した結果、乳腺腫での切る傷口の大きさが大きくない様なら避妊手術も一緒にしてもらいたいと思ってます。

ただ、避妊手術は今まで考えてなかったのであまり知らなくて不安があります…。



質問① 術後、人間でしたら、重い物を持ったりしたら腸とか下がるのであまり重い物を持ったりはしない様にって聞いた事があるのですが、犬は腸とか下がったりしないのでしょうか?

回答① 犬の場合は、避妊手術の影響で腸が移動したりすることはないと思います。



質問② 術後、犬によってはオシッコを失敗する子もいるみたいですがオシッコは出るんでしょうか?痛くて出来ないとかで我慢はしないんでしょうか?

回答② おしっこを失敗してしまうことを「尿失禁」というのですが、避妊手術の後、女性ホルモンが出なくなる影響で尿失禁を起こしてしまうことが数%の確率であると言われています。
尿失禁は若いコよりも高齢のコ、小型犬よりも大型犬に起こりやすいと言われています。
ただ、自分がこれまで避妊手術して、その後尿失禁を起こしたというコを聞いた事がないので、実際は教科書に書かれているよりは、確率は低いのではないかと思っています。
痛くておしっこ出来ないとか、我慢するということはないので安心してください。



質問③ 乳腺腫が短期間に再発しているのですが今回手術してもまた短期間に再発する可能性はありますか?…
Tちゃんは腫瘍が出来やすい子なんでしょうか?……

回答③ 理論的には、乳腺組織をすべて切除してしまえば、再発はないのですが、今回傷跡から再発しているところから判断すると、手術で乳腺組織は完全には取りきれていないと思うので、今後も再発する可能性はあります。
これはTちゃんだけではなく、避妊していないすべての雌犬は乳腺腫瘍になりやすいのです。
理想的には、初回発情前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生率は0.05%になると言われています。
その後、発情を繰り返すごとに、避妊手術による乳腺腫瘍予防効果は落ちてしまうのですが、女性ホルモンが出続けている限りは、乳腺腫瘍は出来やすい状態になっているので、少しでも再発の確率を下げるために、避妊手術はしてあげた方がいいと思います。



質問④ Tちゃんは食べ物のアレルギーもあり、病院のドックフードも駄目なので入院中にドックフードを食べさせない様にお願いしたいのですがm(_ _)m

回答④ 乳腺腫瘍の手術の場合は、一泊入院になりますが、その間は、フードを与えてしまうと麻酔の影響で吐いてしまい誤嚥する可能性があるので、絶食になります。
なので、病院でフードを与えることはないのでご安心ください。



あと、避妊手術で細かいリスクの話をすると、M.ダックスのコは「縫合糸反応性肉芽腫」のリスクがあります。
これは、卵巣や子宮を取り出す際、血管を糸で縛る、あるいはお腹を閉じるのに糸で塞ぐのですが、術後、その糸に反応してしこりが出来てしまうことです。
糸に対するアレルギー反応のようなもので、M.ダックスはこれが起こりやすいことが知られています。
なるべくその反応を起こさないようにするために、当院では2、3か月で生体内で吸収されてなくなる糸を用いていますが、それでも、1−2%の確率で起こりうることをお伝えしておかなければなりません。」



以上が、質問と回答になります。



こうして、乳腺腫瘍の摘出と避妊手術をさせていただくことになりました。



避妊と乳腺腫瘍を同時にする場合、一般的にはガンの播種を考慮し、避妊手術を先にしてしまいます。



今回も避妊手術を先に行い、その後、右の第1と第2乳腺の領域乳腺切除術、左の乳腺腫瘤摘出を行いました。



手術前の写真。



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黒いマーカーで、腫瘍のある部分を示しています。



手術中の写真。



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乳腺腫瘍の手術は乳腺まわりから細かい出血が多いので、電気メスで止血していきます。



手術は無事終了し、術後も順調に回復しましたので、次の日退院となりました。



4日後再診時の写真。



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傷口が大きくて痛々しいですが、術後の腫れもなく、キレイにくっついています。



理想的には、初回の発情前に避妊手術を行う事で、ほとんどの乳腺腫瘍を予防する事ができますが、運悪く乳腺腫瘍になってしまったとしても、早期発見、早期治療で完治出来るので、もし発見したら早めの病院への受診をお勧めします。

設備投資

動物病院を開業する時は、出来る限り医療機器を揃えたいと思うのですが、借金できる資金に限りがあるため、欲しいけど買えなかった機器というのがあります。



なので、開業してからやっぱり必要だなと思うものから少しずつ買い足していっている今日この頃。



そんな中、最近購入した機械がこちら。



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シリンジポンプです。



シリンジポンプとは、微量の薬剤を正確に点滴するときに使います。



例えば、麻酔薬の1つに「フェンタニル」という強力な鎮痛薬があるのですが、薬剤がすぐに代謝されるので、重症な患者にも安全に使用出来ると言われています。



ただ、効果もすぐに切れるので、鎮痛効果を維持しようと思ったら、ずっと注射を打ち続けないといけません。



それを可能にするのが、このシリンジポンプになります。



強い痛みが予想される手術など、必要なときだけ微量点滴で流す事によって、強い鎮痛効果を維持でき、術後、鎮痛が必要なくなったときに点滴を止めれば、体内に残っている薬はすぐに代謝されてなくなり、体の負担が最小限で済むというメリットがあります。



そんな感じで、麻酔を勉強すると一度はシリンジポンプにハマるのですが、以前勤めていた手術症例の多い病院でも、それほどシリンジポンプの出番はなかったので、とりあえず買わないでおいたのです。



それが先日の事、、、



夜の診察時に糖尿病で治療中の猫ちゃんが、ぐったりしたとのことで来院されました。



検査で、ケトアシドーシスになっていることがわかり、緊急入院治療となりました。



ご存知の方もいるかもしれませんが、ケトアシドーシスの治療は、出来るだけ早く血糖値を戻すことと、電解質の補正を行うことです。



電解質の補正は、普通の輸液ポンプでできるのですが、血糖値を戻すのには、レギュラーインスリンが必要です。



レギュラーインスリンは、超短期間作用型インスリンのことで、2、30分で効果がピークになり、1時間後に代謝されてなくなるインスリンです。



なので、効果を持続させるには、シリンジポンプを使うのが一般的です。



シリンジポンプがないときはどうするか。。。



マンパワーです(笑)



1時間おきに微量のレギュラーインスリンを注射していき、2、3時間おきに血液検査にて血糖値と電解質のチェック。



さすがにその日は一睡もできませんでした。。。



なので、その反省を踏まえ、今回購入に踏み切りました。



他にも欲しい機器はたくさんあるのですが、少しずつ買えたらいいなと思います。