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あおえ動物病院

2014年3月28日に、岡山県岡山市北区青江に新規開院した動物病院のブログです。

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犬の皮膚組織球腫について

先日、1歳のミニチュアダックスのコの足先にしこりが出来たとのことで、飼い主様が来院されました。



足先を診させていただくと。。。



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こんな感じの直径5mmくらいのしこりです。



念のため、悪いものじゃないかどうかを調べるため、針を刺して一部細胞を取り、顕微鏡で確認しました。



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典型的な細胞が確認できました。



これは皮膚組織球腫という良性の腫瘍で、1−2歳の若い年齢で発生することが多く、このような野いちごみたいなしこりが急に皮膚の表面にできるのが特徴です。



この腫瘍は、無治療でもほとんどが2−3か月で自然と退縮していくため、特に治療を必要としません。



ただ、まれに大きくなったりすることもあり、本人が気にして舐めて化膿したりすると、手術や内服による治療が必要になってくることもあります。



今回のコも、年齢としこりの見た目から、組織球腫の可能性が高いと思ったのですが、飼い主様により確実な安心を提供するため、細胞診による裏付けをとりました。



同じような年齢、しこりの形でも、まれに肥満細胞腫などの悪性腫瘍のこともありますので、急に大きくなったり、赤くなったしこりを見つけたら、一度病院で診ていただくことをおすすめします。
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止血異常について 3

昨日は二次止血の血液検査として、PT、APTT、フィブリノゲン濃度があり、二次止血を行う凝固因子が12個あるという話をしました。



ちなみにヒトで有名な、血の止まらない病気として「血友病」がありますが、それは、第8因子あるいは第9因子が遺伝的に作られなくなってしまう病気のことです。



第8因子の欠損症を「血友病A」、第9因子の欠損症を「血友病B」と呼びます。



そして、12個の凝固因子たちは、その機能によって、内因系、外因系、共通系に分けられます。



内因系とは、血管内の血管壁が壊され、壁から出てきたコラーゲンと反応することで、活性化していく凝固因子たちのことを指します。



コラーゲンと触れると、第12因子が活性化され、活性化された第12因子は第11因子を活性化させます。



活性化された第11因子は第9因子を活性化させます。



このようにドミノ倒し的に次から次へと凝固因子が活性化されていくわけです。



順番としては



12➡11➡9➡8



ここまでの流れを内因系と呼びます。



なぜ内因系かと言われると、すべての反応が血管内の因子によって起こるからです。



逆に、外因系は血管外の因子の働きによって活性化されます。



具体的には、外傷などによって、損傷した血管外の組織から、第3因子が放出され、第3因子は第7因子を活性化します。



3➡7



ここまでを外因系と呼びます。



そして内因系の最後の第8因子と、外因系の最後の第7因子は、共に第10因子を活性化させます。



そこからは共通で、



10➡5➡2➡1



と活性化されるので、ここを共通系と呼びます。



ここの最後の第1因子がフィブリノゲンで、これからフィブリンが作られ、二次止血が完了します。



まとめると



12➡11➡9➡8 ➡
           10➡5➡2➡1
3➡7       ➡



こんな感じで二次止血は2つの経路によって、反応が進みます。



こうした一連の流れを「凝固系カスケード」と呼びます。



なんだかとても厨二病かっこいいネーミングですが、カスケードとは「滝」のことで、小滝の水が階段状に連なって流れ落ちるがごとく,次々と反応が進行していく様子から“カスケード(cascade)”と形容されるそうです。



こんなイメージですかね。。。



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さて、何の話をしてたのでしょうか?(笑)



次回へ続きます。

止血異常について 2

昨日は血が止まる機構として、「一次止血」「二次止血」があることをお話ししました。



今日はそれを調べるための血液検査の話です。



一次止血の異常を調べるための検査では、血小板の数が正常かどうか、「血小板数」を調べます。



そして二次止血の異常を調べるための検査では、「PT」「APTT」「フィブリノゲン濃度」を調べます。



ここで、PT、APTTとは何ぞや?という話になります。



PTとはプロトロンビン時間(prothrombin time)の略で、APTTとは活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time)の略ですが、正直名前はどうでもいいです。



要はそれぞれ調べることで、どんな意味があるのか?ということですね。



その意味を理解するには、「凝固因子」の働きを理解する必要があります。



ところで、その二次止血に必要な「凝固因子」は、全部で何個あるかご存知でしょうか?



正解は、第1因子から第13因子まで、計12個あります。



。。。うん、何も間違えていないですよ。



実は、第6因子は欠番になっております。



昔のエラい人が、見つけた順番で、1番から13番まで名前をつけたらしいのですが、なぜか途中で6番がなくなってしまったようです。



まあ、そういった歴史上の深い事情は置いといて、その計12個の凝固因子は、その働き方によって「内因系」、「外因系」、「共通系」に分けられます。



うーん、思ってたより話が長くなりそうなので、また次回に続きます。。。

止血異常について 1

先日、猫ちゃんの去勢手術の術前の血液検査で、血が止まらないので手術が難しいと言われ、セカンドオピニオンで当院に来られた飼い主様がいらっしゃいました。



突然ですが、傷口などから出た血がなぜ固まって止まるのかご存知でしょうか?



血液中には、様々な機能を持つ細胞が存在しますが、その中に「血小板」という、血を止める機能をもった細胞があります。



血小板は、血管が破れると、活性化して破れた部分の血管に集まり、血栓を作り、傷口を塞ぎます。



これを一次止血といいます。



「一次」ということは「二次」もあるのかと考えられた方、その通りです。



実は、血小板だけの血栓では、血を止めるには脆くて不安定です。



そこで、一次止血に引き続き、血液中の「凝固因子」と呼ばれる一群のタンパク質が働き、最終的にはフィブリンと呼ばれる凝固因子が、血小板を網で覆うように固めて、止血が完了します。



これを二次止血といいます。



この「一次止血」、「二次止血」の一連の流れが生体内でスムーズに行われる事によって、傷口からの出血が止まるのですね。



なので、逆にこのどちらか一方がうまくいかないと、血が止まらない、ということになってしまいます。



それを調べる為の血液検査がいくつかあるのですが、今回相談に来られた飼い主様は、残念ながらそのデータをお持ちでなく、話を伺っても、どの検査の異常なのかわからなかったため、当院で改めて検査させて頂くことにしました。



続く

犬の潜在精巣(皮下陰睾 インコウ)について

以前、猫ちゃんの腹腔内の陰睾の手術をブログに書きましたが、猫ちゃんの陰睾は実はそれほど多くなく、わんちゃんの陰睾の方が診る機会が多いです。



犬の精巣は出生時には腹腔内に深く潜在しており、精巣下降(精巣が陰嚢内に下降すること)が完了するのは生後約30日です。



ところが片側または両側の精巣が陰嚢内に下降しないで、腹腔内または鼠径部(内股の部分)に停留することを陰睾(潜在精巣)といいます。



今回はトイプードルのコが鼠径部の皮下陰睾になっておりましたので、そちらを手術させて頂きました。



術前の写真。



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わかりづらいですが、触ると鼠径部にタマタマがあるのが確認できます。



術後の写真。



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今回は皮下にありましたので、皮膚を切開するだけで、簡単に取り出すことができました。



取った精巣はこちら。



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普通のコのものに比べると少し小さめです。



陰睾は遺伝しますし、放っておくと、精巣がガン化する可能性が高いので、早めに去勢手術をすることをお勧めします。

譲渡会

昨日は午後から「わんぱーく」さん主催の譲渡会が開催されました。



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前回よりもたくさんの方々がお越しくださり、大盛況だったみたいで本当に喜ばしいことですね。



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今回は最終的に、わんちゃんねこちゃん各1組ずつ飼い主様候補の方が見つかったようです。



本当に嬉しい限りです。



これからも微力ながらこういった活動のサポートができたらと思います。

共に生きる

先日、当院に仔犬の頃から診させて頂いていたパグのコの去勢手術をさせて頂きました。



最初にワクチンを打ちに来られた時は、これぐらいの大きさでしたが、、、



Evernote Camera Roll 20140511 122952



それから5か月くらいで、ここまで大きくなりました。



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ちなみに去勢後の傷口はこんな感じです。



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当院はできてからまだ日の浅い病院ですが、仔犬のコがここまで大きくなるくらいの月日を積み重ねることができました。



これからも、このコの成長を見守ることのできるような、いざというときにも頼りになるかかりつけ医でありたいと思います。

ひっそりと

ホームページを更新してみました。



頭の片隅には、いつかホームページを更新しないと。。。と常々思っていたのですが、気がつけば7月から放置状態になってしまっておりました orz



最近は少しずつお問い合わせの電話が増えており、非常に有り難い限りなのですが、たまに電話中にキャッチホンがなり、結局キャッチホンに出られなかったり、診察中に電話が鳴り、診察を中断してしまう時も増えてきました。



そして思い返すと、お問い合わせの内容の半分近くは、診察や手術の料金に関するお問い合わせでしたので、少しでもホームページで飼い主様の不安を取り除くことができればと思った次第です。



料金に関する当院の考えなども同時に載せておりますので、よろしければ一度ご覧になってみてください。



料金表


またまた

差し入れを頂いてしまっております。



先日アナゴ君疑いで治療させて頂いていたトイプードルの飼い主様から。



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今日はすっかり元気になった姿を見せて頂き、ワクチン接種をさせて頂きました。



そして、先日と今日避妊手術をさせていただいた、きなこ様より。


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晩ご飯の差し入れです。



たまたまその日の夜は別の手術も控えていたので、すごく助かりました。



そして今日も温かいコーヒーを頂いてしまいましたし、本当にありがとうございました。



そして、別の飼い主様より、甘いものの差し入れを頂きました。



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皆様のお気遣いに本当に感謝しております。

猫の便秘について

先日、食欲がなく、吐くようになったとのことで、14歳の猫ちゃんが来院されました。



お腹を触診すると、何やら硬いものが触知できました。



レントゲンを撮らせていただくと。。。



猫便秘1



重度の便秘症でした。



意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、猫ちゃんは、便秘になりやすいです。



原因としては、次の3つくらいが多いです。



・交通事故の後遺症(骨盤骨折や神経損傷など)

・肥満

・高齢



基本的には、便が骨盤を通過できなくなるような構造的な通過障害が出来てしまったり、排便をコントロールする神経や平滑筋の筋力に問題が生じるようになると発生するようです。



この病気は、専門的には便の貯まった結腸が風船のように膨らむので、「巨大結腸症」と呼ばれます。



軽度であれば、浣腸や補液、緩下剤などで様子を見るのですが、ここまでガチガチにつまっていると、物理的に搔き出す方法が必要になります。



ショックを起こさないよう麻酔をかけて、直腸粘膜を出来るだけ傷つけないよう慎重に指や浣腸液を使って、少しずつ便をほぐしながら全ての固形便を掻き出していきました。



処置後のレントゲン写真。



猫便秘2



スッキリしました。



処置後もしばらくは、浣腸液でどろどろになった便が出て、お尻が汚れてしまうので、一泊入院とさせていただきました。



再び便秘にならないようにするために、以前は下剤を処方したり、コントロールの難しいコは結腸亜全摘といって、直腸を切除する手術まで行うこともあったのですが、最近はいい処方食が出てきたので、それだけで維持できることが多いです。



便秘かどうかは、慣れればお腹を触ればすぐに分かるので、普段からスキンシップでお腹を触って、正常な状態を覚えておくといいかもしれませんね。

犬の歯槽膿漏再び

先日の忙しかった日に、手術させていただいたコのお話です。



9歳のミニチュアダックスのコで、以前から歯周病を患っていましたが、リウマチとてんかん持ちということで、これまで、麻酔をかけての歯の治療を躊躇されておりました。



ただ、今回診察させていただき、重度の歯周病でしたので、術前の血液検査、X線検査で麻酔をかけるに当たっての内臓の異常がないことを確認し、なるべく脳圧をあげないような麻酔薬を選択することで、歯の治療を行うことにしました。



治療前はこれくらいの状態だったのが、、、



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これだけスッキリしました。



やはり、歯肉が歯周病でかなりやせており、ほとんどの歯がグラグラで、抜歯せざるを得ない状態でした。



犬の歯は、正常で42本ありますが、今回は計20本抜歯することになりました。



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その後、心配だった麻酔も問題なく覚め、覚醒後も発作等起こすことなく、夕方に無事退院していきました。



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お疲れ様でした。

インフルエンザの予防接種

今日は平日営業といいますか、昼休みも予定なく暇でしたので、昼に開いている病院を探して、インフルエンザの予防接種に行ってきました。



開業してから特に、体が資本だということを感じます。



今はまだ若くて免疫力もしっかりしていると思うので、インフルエンザにかかる確率は相当低いと思いますが、もし万が一インフルエンザにかかってしまったら、飼い主様にうつすわけにはいかないので、病院を休みにしないといけません。



そういったリスクを数千円のワクチン接種で回避できるなら、とても価値のあることだと思います。



そんなわけで打ってきました。



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これで一安心です。



わんちゃんねこちゃんのウイルス感染による病気も、もし感染すれば、治療費も多くかかりますし、中には致死的なものもありますので、ワクチンで防げるものはしっかり予防してあげたいですね。

長い1日

あまり「忙しい」という言葉を使うのは個人的に好きではないのですが、昨日は久々に忙しいと感じた一日でしたので、ちょっと紹介させていただきたいと思います。



先ず、朝5時に、当院にかかってもらっていた、高齢のトイプードルのコが痙攣発作を起こし、止まらないとのことで、時間外で診察させて頂きました。



お預かりして、発作止めの治療をし、追加で補液をして状態が安定したのを確認してお返しさせて頂きました。



それから、通常通り午前中に診察をし、昼休みに予定していた手術を2件させて頂きました。



そして、午後の診察をさせて頂き、診察時間中に、衰弱した仔猫ちゃんが来院され、あまりに状態が悪いので、お預かりして集中介護をさせていただくことになりました。



低体温になっていたので、保温と補液を行い、1時間おきにミルクを誤嚥しないよう慎重に強制給餌していきました。



そしてまた、午後の診察時間にノラ猫ちゃんを3頭捕獲された飼い主様がいらっしゃったので、夜に避妊手術2頭、去勢手術を1頭、合間合間に仔猫ちゃんの介護を続けつつ、行いました。



手術が終わったのが夜12時頃で、その後も仔猫ちゃんの介護を続けていたのですが、残念ながら午前4時ごろに亡くなってしまいました。



このように体力的にも精神的にも辛い一日を経験させて頂きましたが、「忙しい」と感じるほど仕事をさせて頂いているのは、本当に有り難いことだなと感じています。



今日の午後は休診で、ゆっくり休ませて頂きましたので、また明日から頑張りたいと思います。

世界糖尿病デー

今日11月14日は、国連が定めた「世界糖尿病デー」だそうです。



たまたまですが、当院でも食欲が落ちていた糖尿病の猫ちゃんを、今日まで預かって治療させて頂いておりました。



食餌量にムラがあると、血糖値もムラが起きますし、脱水を起こしていると皮下に注射したインスリンの吸収にもムラが起きるので、血糖値のコントロールが難しくなります。



そのような理由で、脱水の補正と食欲改善のため、お預かりさせていただき、点滴治療とインスリン治療を並行して行っておりました。



ところで、なぜ今日が「世界糖尿病デー」なのかというと、11月14日は、血糖値を調節するホルモン「インスリン」を1921年に発見したカナダ人医師、フレデリック・バンティングの誕生日だからだそうです。



今や当たり前のように知っている「インスリン」が、実は発見されてまだ100年経っていないということを知り、医学の進歩の素晴らしさを改めて感じました。



獣医療もこれからどんどん進歩して、今まで治せなかった病気が1つでも多く治せるようになってくれることを願っています。

わんぱーくさんの譲渡会

前回の開催からまだ日は浅いですが、11月24日(月)の午後2時から5時の間で、当院にて4回目のわんぱーくさん主催の譲渡会が開かれることになりました。



保護されているわんちゃんねこちゃんの新しい飼い主様との出会いのため、微力ながら協力していきたいと思います。



詳しい内容などは、わんぱーくさんにお問い合わせください。

犬の歯槽膿漏について2

今日は9歳の柴犬のコの歯の治療をさせて頂きました。



以前、ミニチュアダックスのコの治療をさせて頂いたことがありますが、そのコと同様、歯周病により歯の根元が膿んでしまい、眼の下の皮膚から膿が出てしまっておりました。



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一時的に抗生剤で化膿を抑えていますが、原因となっている歯を除去しない限りは、すぐに再発してしまうため、麻酔下で抜歯を行うことにしました。



抜歯前の写真。



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奥の一番太い2本の歯(上顎第四前臼歯と第1後臼歯)に重度の歯石付着と、歯周病による歯肉の脆弱化に伴う歯の動揺が認められました。



抜歯後の写真。



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本来これだけ太い歯であれば、普通に抜こうとしても歯根がしっかりしているため、抜歯することができないのですが、今回は土台の歯肉が歯周病により弱くなっており、そのまま抜歯することができました。



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その後、麻酔の覚めも問題なく、夕方元気に退院しました。



前回、今回のコのように、特に上顎の奥の歯は歯石が付きやすく、歯周病になりやすいので、普段のデンタルケアでも気をつけてあげたいですね。

アナゴ君のせいだったのか?

先日、5歳くらいのトイプードルのコが急性の嘔吐を主訴に来院されました。



前日アナゴを食べてしまったとのことで、その消化不良を疑い、幸い食欲は少しあるとのことでしたので、整腸剤の注射と飲み薬で様子をみてもらうことにしました。



しかし、次の日も吐き気が続くとのことで、血液検査とレントゲン検査を行いましたが、明らかな異常を認めず、一般的な整腸剤では抑えられないような重度の腸炎や膵炎を疑い、入院での点滴を行いました。



すると、入院当日の午後にはペースト状のフードを食べ、ケージから出たがって、前足でドアをガリガリするような元気さが見られたので、夜にお返ししました。



しかし、夜中にまた吐いたとのことで、再度入院点滴を行うことにしました。



その日は、点滴しているにもかかわらず、深夜から朝にかけて3回ほど吐き、状態がかなり悪化しておりました。



その日に超音波検査も行い、異物などの明らかな異常は認めませんでしたが、胃から十二指腸に、腸の動きの停滞を示唆するような液体貯留の所見を認めました。



もし、レントゲンやエコーでわかりづらい異物が原因で腸閉塞を起こしているようなら、時間が経つごとに命に関わる状態になることを飼い主様に説明し、手術の提案をしました。



飼い主様もご納得頂き、次の日に手術を行う予定にしていたのですが、幸いその日から吐かなくなり、ご飯も少しずつ食べ出しました。



結局、その後も吐くことなく順調に回復し、4日後にきれいな便が出たのを確認し、無事退院となりました。



便の中にも特に異物は見つからなかったので、やはり原因はアナゴ君だったのかなと思います。



重度の膵炎、腸炎の時は、一時的に麻痺性イレウスを起こしてしまうので、それによって腸の動きが停滞してしまっていたのかなと考えます。



何はともあれ、しばらく眠れない日々が続いたので、無事元気になってくれてホッとしました。

アルファキサロン買ってみた

より安全な麻酔薬を求めて、今年7月頃に日本で新発売した新しい注射用麻酔薬を買ってみました。



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アルファキサロンは犬猫用の麻酔導入、維持薬として海外では10年ほど前から使用されている薬だそうです。



似たような注射用麻酔薬として、ケタミンやプロポフォールがありますが、ケタミンは麻酔の効いている時間(作用時間)が長めなので、重症患者には使いづらいのと、麻薬指定されているので管理が面倒という欠点があります。



プロポフォールは、作用時間は短時間なので重症患者にも使えますが、基剤に卵黄レシチンや大豆油を用いているため、細菌が繁殖しやすく、開封後は保存が効かないのと、稀に卵のタンパクに反応してアナフィラキシーを起こす可能性や、油が入っているので、膵炎の症例には使いづらい印象があります。



その点、アルファキサロンは水溶性なので、ケタミン同様保存が効き、アナフィラキシーを起こさないのと、麻薬ではないので管理が楽で、短時間作用なので重症患者にも使えるといった、多くのメリットを持っています。



あと、個人的に素晴らしいと思ったのは、犬の帝王切開時の使用が認められていることですね。



胎児への麻酔の影響が少ない薬剤として、今までは導入薬としてプロポフォールのみ経験的に使っていましたが、ある程度の制約つきでも製薬会社が使用を認めた薬が世に出てきたというのは、獣医師として大変有り難いと思います。



ただ、犬のみで、猫には使ってはいけないようです。



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もちろん、アルファキサロンと言えども短所もあり、肝臓に代謝を依存しているので、あまり重度の肝疾患の患者には使えないのかなと思っていますが、安全性の高い麻酔薬の選択肢が1つでも増えるのはとても喜ばしいことだと思います。

蚊が

昨日久々に我が家で蚊を見かけました。



最近は蚊といえばデング熱が話題になっておりますが、わんちゃんにとってはやはりフィラリアの方が問題です。



ご存知の方が多いと思いますが、フィラリアの予防薬は駆虫薬であり、蚊に刺されて犬の体内に入り、その中で1か月くらい成長したフィラリアの子虫を効果的に殺す薬です。



なので、我が家では4月上旬くらいから蚊が出始めましたので、フィラリアの投薬時期としては、5月上旬から12月上旬までで、8か月必要だということがわかります。



実際に飼い主様のお話を聞いていると、油断して最後の月の飲ませ忘れが結構多いみたいですので、12月までしっかり飲ませて、忘れずに予防してあげてくださいね。

診察券

開業当初にかなりの数を注文していた診察券が。。。



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残りこれぐらいになってしまったので、今日、追加注文をしました。



なくなった診察券の分だけ、新たな飼い主様との出会いがあったと思うと、とても感慨深いものがあります。



これからも一期一会の気持ちで新たな飼い主様との出会いを大切にしつつ、今まで診察券をお渡しさせて頂いた飼い主様とも長いお付き合いとなれるよう、日々の診察を大切に積み重ねていきたいと思います。

差し入れを

またまた頂いてしまいました。



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「玉露」。日本茶の中でも最上級にランク付けされるお茶です。



調べてみると、「玉露」の生産量は全国で約270tで、日本人一人あたりに換算すると2g程度しか生産されていないそうです。



これからの季節、温かいお茶が余計に美味しく感じられます。



本当にありがとうございます。



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志満秀のえびせんべい。



お隣の香川県の銘菓ですね。



久々に食べましたが、昔と変わらぬ味で、とてもおいしかったです。



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博多とおりもん。



学会に行かれた飼い主様からのお土産として頂きました。



中のあんがとても美味しいおまんじゅうで、お茶とよく合います。



皆様の温かい心遣いに感謝致しますm(_ _)m

開業して良かったこと、悪かったこと

開業して半年が経過しましたが、良かったこと、悪かったことを振り返ってみたいと思います。



まず、良かったことですが、これは当たり前のことかも知れませんが、病院に来られるすべての飼い主様が自分を頼りにしてくださるということですね。



以前は勤務医として働いていましたが、勤務医というのは代診と表現されることもあり、どうしても、「院長の代わりに下の者が診ている」感が否めません。



最初の頃は全然それでも良かったのですが、経験を積むにつれて、最終的に重要なことはいかに飼い主様と信頼関係を築くかという答えに行き着き、このままだとダメだと思いました。



信頼関係を築くには、それ相応の獣医師として、人間としての覚悟が必要だと思いました。



極論かもしれませんが、自分が倒れたり、変なことをしたら病院がつぶれ、従業員、家族が路頭に迷うかもしれないという覚悟で診察している院長と、給与をもらってリスクのない状態の勤務医の診察と、どちらが飼い主様との信頼関係を築けるかという話になります。



なので、その覚悟を背負った分、今は以前より良い診察が出来るようになったと思います。



逆に悪かったことと言えば、常に誰からも相手にされなくなるかもしれないという恐怖を抱えることになったことですね。



開業当初の、病院を開けていても誰も来ない状態。。。体感して初めてわかりましたが、とても恐ろしいです。



自分が必死になって築き上げてきたものが、実は誰からも喜ばれないものだったと言われているような感じです。



忍耐力には自信がありましたが、このままずっと誰も来ないのではないかという恐怖でさすがに少し痩せましたね。



なので、他にも、プライベートな時間が取れなくなったとか、病院の雑務をすべて一人でするのが面倒とか、細かいデメリットはありますが、この恐怖に比べたら微々たるものです。



今は少しずつ信頼してくださる飼い主様が増えて、本当に嬉しく思います。



ただ、これも自分の裁量によっては、また失ってしまう可能性もありますので、日々研鑽して、そうならないようにしないといけませんね。

3連休終了

皆様充実した休日をお過ごし頂けましたでしょうか?



当院はというと、昨日は悪天候にも関わらず来院してくださる飼い主様がおり、午後も有り難いことに手術や時間外診療に従事させていただいておりました。



開業して間もない頃は、当たり前かもしれませんが、手術も時間外診療もほぼ皆無でしたので、今は仕事がある喜びを実感しております。



これもひとえに、当院を良く思って利用してくださったり、中にはご紹介までしてくださる飼い主様方のおかげだと感じています。



本当にありがとうございますm(_ _)m



そんな忙しさに甘えてしまい。。。少しブログの更新が滞りがちになっております。。。



余談ですが、いつもブログを書くとき、ネタがあれば15分くらいで書けるのですが、ないときは1、2時間位粘りながら、頭を雑巾のように絞って、その絞り出たものを記事にしているような感じです。



昨日も例のごとくネタなし状態でしたので、粘っていたのですが、疲れのせいか眠気に勝てず落ちてしまいました。。。



それなら暇な昼休みに書いておけば、、、と言われてしまうのですが、これは「追いつめられないとやる気が起きない」という僕の学生時代からの悪い習慣で、深夜にならないとスイッチが入らないのですね。



夏休みの宿題も毎年最終日に残してしまう子供でした(笑)



言い訳はそれぐらいにしておいて、猛省しつつ、明日からまた頑張りたいと思います。

マイクロチップ

当院でもマイクロチップを導入することになりました。



マイクロチップとは、直径2㎜、長さ約8~12㎜の円筒形の電子標識器具で、内部はIC、コンデンサ、電極コイルからなり、外側は生体適合ガラスで覆われています。



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それぞれのチップには、世界で唯一の15桁の数字(番号)が記録されており、この番号を専用のリーダー(読取器)で読み取ることができます。



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動物の安全で確実な個体識別(身元証明)の方法として、ヨーロッパやアメリカをはじめ、世界中で広く使われています。



メリットは、迷子や地震などの災害、盗難や事故などによって、飼い主と離ればなれになっても、マイクロチップの番号をリーダーで読み取り、データベースに登録された情報と照合することで、飼い主のもとに戻ってくる可能性が高くなります。



このような、通常の注射針より少し太い専用のインジェクター(チップ注入器)を使って、背中の皮下に注入します。



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わんちゃん、ねこちゃんを海外に連れていかれる際にも必要になると思いますので、そのような時は是非ご利用いただければと思います。