猫の横隔膜ヘルニアについて
[No.224] 2014/10/20 (Mon) 23:41
先日、台風の日に手術させて頂いた猫ちゃんのお話です。
交通事故に遭ってしまい、その後だんだん元気がなくなってきたとのことで来院されました。
診させて頂くと、明らかに呼吸状態が悪かったため、X線検査を行ったところ、横隔膜ヘルニアが見つかりました。

徐々に状態が悪化しているとのことでしたので、緊急手術が必要と判断し、手術をさせて頂きました。
剣状突起から臍の後方まで腹部正中切開をし、横隔膜を確認したところ、腹腔の円周方向に大きく破れており、肝臓や小腸、腹腔内脂肪が、胸腔内に逸脱しておりました。

先ず逸脱した臓器を元の位置にゆっくりと整復し、その後、深部のヘルニア孔は破れている横隔膜同士を縫合し、円周方向に破れている横隔膜は腹壁と縫合しました。

縫合はテンションがかかりすぎて横隔膜がちぎれないよう単純結紮を避け、水平マットレス縫合にて縫合しました。

そして、術後の合併症の可能性のある気胸、胸水の抜去のため、念のため胸腔ドレーンを設置しました。

閉腹時の写真。傷口はこれぐらい大きくなってしまいます。

術後のレントゲン写真。
臓器は元ある場所にキレイに戻っています。
気胸になっているため、心臓が胸骨から浮いているように写っています。

術後管理は、圧迫を受けていた臓器の圧迫が解除されることによる再還流障害、特に猫では肺が急に膨らむことによって起こる再膨張性肺水腫が起きる可能性があるため、呼吸状態を注意深く看ていく必要があります。

酸素室内で治療中の写真です。
幸い合併症を起こさず、順調に回復したため、2日後に胸腔ドレーンを抜去、一般入院室に移動後も問題なかったので、その2日後に退院となりました。

退院前のレントゲン写真。
気胸が改善されており、心臓が正常な位置で確認できます。
教科書的には、外傷性横隔膜ヘルニアの手術の成功率は85%と言われ、再発率は5%と書かれています。
あとは再発しないことを祈るばかりですが、とりあえずは無事に元気に退院でき、本当に良かったと思います。
交通事故に遭ってしまい、その後だんだん元気がなくなってきたとのことで来院されました。
診させて頂くと、明らかに呼吸状態が悪かったため、X線検査を行ったところ、横隔膜ヘルニアが見つかりました。

徐々に状態が悪化しているとのことでしたので、緊急手術が必要と判断し、手術をさせて頂きました。
剣状突起から臍の後方まで腹部正中切開をし、横隔膜を確認したところ、腹腔の円周方向に大きく破れており、肝臓や小腸、腹腔内脂肪が、胸腔内に逸脱しておりました。

先ず逸脱した臓器を元の位置にゆっくりと整復し、その後、深部のヘルニア孔は破れている横隔膜同士を縫合し、円周方向に破れている横隔膜は腹壁と縫合しました。

縫合はテンションがかかりすぎて横隔膜がちぎれないよう単純結紮を避け、水平マットレス縫合にて縫合しました。

そして、術後の合併症の可能性のある気胸、胸水の抜去のため、念のため胸腔ドレーンを設置しました。

閉腹時の写真。傷口はこれぐらい大きくなってしまいます。

術後のレントゲン写真。
臓器は元ある場所にキレイに戻っています。
気胸になっているため、心臓が胸骨から浮いているように写っています。

術後管理は、圧迫を受けていた臓器の圧迫が解除されることによる再還流障害、特に猫では肺が急に膨らむことによって起こる再膨張性肺水腫が起きる可能性があるため、呼吸状態を注意深く看ていく必要があります。

酸素室内で治療中の写真です。
幸い合併症を起こさず、順調に回復したため、2日後に胸腔ドレーンを抜去、一般入院室に移動後も問題なかったので、その2日後に退院となりました。

退院前のレントゲン写真。
気胸が改善されており、心臓が正常な位置で確認できます。
教科書的には、外傷性横隔膜ヘルニアの手術の成功率は85%と言われ、再発率は5%と書かれています。
あとは再発しないことを祈るばかりですが、とりあえずは無事に元気に退院でき、本当に良かったと思います。
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