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あおえ動物病院

2014年3月28日に、岡山県岡山市北区青江に新規開院した動物病院のブログです。

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ネギの誤飲

今日は時間外で、ネギを誤飲してしまったわんちゃんを診させて頂きました。



幸い早めに連れてきていただいたおかげで、催吐処置にて、未消化のネギを吐かせることができました。



ご存知の通り、犬や猫はタマネギやネギ、ニンニク、ニラなど、Allium属植物を採食すると、「タマネギ中毒」を起こしてしまいます。



タマネギ中毒とは、これらの植物に含まれる多様な酸化剤の赤血球酸化障害作用に起因して発症するハインツ小体性溶血性貧血のことです。



。。。ちょっとわかりづらいですね。



「風が吹くと桶屋が儲かる」的な要約をすると、タマネギを食べると、貧血が起きてしまい、命に関わる状態になってしまうのです。



そして、なぜ貧血が起きるのかというと、赤血球が破壊されるからです。



なぜ赤血球が破壊されるかというと、ネギ類に含まれる硫黄化合物、これは独特のネギ臭の原因となっている物質ですが、それが、赤血球に「酸化障害」というダメージを与えるからです。



「酸化障害」のダメージを受けた赤血球は、凝集沈殿して「ハインツ小体」という物質に変形します。



赤血球が破壊されることを「溶血」というので、これをまとめて、「ハインツ小体性溶血性貧血」と呼びます。



ちなみに、犬よりも猫の方が、赤血球の酸化障害を受けやすいと言われていますが、猫自身がネギの臭気を嫌って食べようとしないため、猫のタマネギ中毒は本の中でしか見たことがありません。



長くなってしまいましたが、このような機序で貧血が起こるので、タマネギ中毒の治療は、酸化障害に対する抗酸化処置(ビタミンEやビタミンCなど)、貧血に対する対症療法(輸血など)が行われます。



いずれにせよ、原因物質の除去が一番の治療法になるので、万が一誤飲してしまった場合は、速やかに吐かせてあげたほうがいいですね。
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