ASA分類
[No.233] 2014/10/31 (Fri) 23:58
昨日の記事に関連して、麻酔のリスクのお話です。
よく飼い主様に、「このコの麻酔は、どれくらい危険ですか?」と質問されることがあります。
そんなときは、自分のこれまでの経験と、客観的なデータとして、アメリカ麻酔学会(American Society of Anesthesiologists:ASA)の分類に従って、身体状態(Physical status)をクラス分けし、クラスごとの麻酔の危険性を考慮し、リスクについてお話しています。
そのASA分類は、クラス1からクラス5までの5段階に分類することができます。
クラス1:全く健康な動物
クラス2:軽度ないし中程度の全身症状を示す動物
クラス3:中程度ないし重度の全身症状を示す動物
クラス4:死に至るほど重篤な全身症状を示す動物
クラス5:手術に関わらず24時間生存が期待できない瀕死の動物
例を挙げると、若くて特に健康状態に問題のないコはクラス1、基礎疾患はないが、高齢、肥満のコはクラス2、初期の慢性心疾患、発熱、脱水、軽度の肺炎など患っているコはクラス3、尿毒症や交通事故などによる膀胱破裂、脾臓破裂、横隔膜ヘルニアなど患っているコはクラス4、極度のショック状態、末期の腫瘍、長時間の胃捻転などはクラス5に分類することができます。
そして、それぞれの死亡率は、少し古いデータですが、クラス1で0.5%、クラス2で0.8%、クラス3で1%、クラス4で18%と言われています。
実際はもう少しリスクは低いと思いますが、リスクが0.1%違うだけで、体感的には大きく違います。
0.1%でもリスクを下げられるように、そのコそのコに合った麻酔薬の選択、量の調節を行えるよう、いつも頭を悩ませております。
よく飼い主様に、「このコの麻酔は、どれくらい危険ですか?」と質問されることがあります。
そんなときは、自分のこれまでの経験と、客観的なデータとして、アメリカ麻酔学会(American Society of Anesthesiologists:ASA)の分類に従って、身体状態(Physical status)をクラス分けし、クラスごとの麻酔の危険性を考慮し、リスクについてお話しています。
そのASA分類は、クラス1からクラス5までの5段階に分類することができます。
クラス1:全く健康な動物
クラス2:軽度ないし中程度の全身症状を示す動物
クラス3:中程度ないし重度の全身症状を示す動物
クラス4:死に至るほど重篤な全身症状を示す動物
クラス5:手術に関わらず24時間生存が期待できない瀕死の動物
例を挙げると、若くて特に健康状態に問題のないコはクラス1、基礎疾患はないが、高齢、肥満のコはクラス2、初期の慢性心疾患、発熱、脱水、軽度の肺炎など患っているコはクラス3、尿毒症や交通事故などによる膀胱破裂、脾臓破裂、横隔膜ヘルニアなど患っているコはクラス4、極度のショック状態、末期の腫瘍、長時間の胃捻転などはクラス5に分類することができます。
そして、それぞれの死亡率は、少し古いデータですが、クラス1で0.5%、クラス2で0.8%、クラス3で1%、クラス4で18%と言われています。
実際はもう少しリスクは低いと思いますが、リスクが0.1%違うだけで、体感的には大きく違います。
0.1%でもリスクを下げられるように、そのコそのコに合った麻酔薬の選択、量の調節を行えるよう、いつも頭を悩ませております。
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嵐のような出来事
[No.232] 2014/10/30 (Thu) 23:58
先日お話しした、「嵐のような出来事」のことを書いてみたいと思います。
若いネコちゃんの去勢手術をさせていただいたのですが、術後、覚醒時に痙攣発作を起こし、発作重責状態となってしまいました。
麻酔によるアナフィラキシーショックを疑い、急いで発作を抑える治療と、ショックに対する治療を行いながら、飼い主様に連絡しました。
すぐに飼い主様とそのご家族の方々がお越しくださり、治療中の昏睡状態のネコちゃんのそばで必死の思いで付き添ってくださいました。
発作を抑える治療として、鎮静剤を用いるのですが、鎮静剤が切れると発作が再発してしまうので、少しずつ追加投与しながら、発作が落ち着くのを待ちました。
そして、5時間ほど治療を続けた結果。。。
発作が落ち着き、なんとか酸素室へ移動できる状態まで回復しました。
このような状態から亡くなってしまうコも多い中、回復できたのは、飼い主様の呼びかけにネコちゃんが必死に応えてくれたのではないかと感じました。
その後、順調に回復し、次の日には無事退院することができました。
その次の日に一度、発作を起こしてしまいましたが、その後は後遺症を感じさせず、同居ネコちゃんと元気に走り回っているようです。
一般的には避妊・去勢手術は安全な手術とされていますが、残念ながら100%安全とも言えないのが現実です。
術創が少し化膿したというような軽度な(治療により完治する)合併症から、重度な(後遺症、死亡等も含めた)合併症までの報告があります。
他院での発生事例として、術後に血栓が後肢に発生、壊死したため断脚を余儀なくされたケースや、腎臓に血栓もしくは還流不全が発生し、腎不全に陥ったケース、術後数週間後にFIP(猫伝染性腹膜炎)を発症して死亡したネコちゃんのケース(周術期ストレスが発症に関与?)などが報告されています。
海外の報告では、2002~2004年の間に188000頭の動物を麻酔した中で、死亡率はイヌ0.05%、ネコ0.11%であったとされています。
そして麻酔に対するアナフィラキシーショックなどは、どんなに検査をし尽くしても現在の獣医療レベルでは予見できません。
おそらく今後も、麻酔のリスクを完全に0にすることはできないと思いますが、「安全な麻酔薬は存在しない。安全な麻酔法もない。存在するのは安全な麻酔医のみである。」を肝に銘じ 、少しでも0に近づける麻酔、手術を目指したいと思います。
若いネコちゃんの去勢手術をさせていただいたのですが、術後、覚醒時に痙攣発作を起こし、発作重責状態となってしまいました。
麻酔によるアナフィラキシーショックを疑い、急いで発作を抑える治療と、ショックに対する治療を行いながら、飼い主様に連絡しました。
すぐに飼い主様とそのご家族の方々がお越しくださり、治療中の昏睡状態のネコちゃんのそばで必死の思いで付き添ってくださいました。
発作を抑える治療として、鎮静剤を用いるのですが、鎮静剤が切れると発作が再発してしまうので、少しずつ追加投与しながら、発作が落ち着くのを待ちました。
そして、5時間ほど治療を続けた結果。。。
発作が落ち着き、なんとか酸素室へ移動できる状態まで回復しました。
このような状態から亡くなってしまうコも多い中、回復できたのは、飼い主様の呼びかけにネコちゃんが必死に応えてくれたのではないかと感じました。
その後、順調に回復し、次の日には無事退院することができました。
その次の日に一度、発作を起こしてしまいましたが、その後は後遺症を感じさせず、同居ネコちゃんと元気に走り回っているようです。
一般的には避妊・去勢手術は安全な手術とされていますが、残念ながら100%安全とも言えないのが現実です。
術創が少し化膿したというような軽度な(治療により完治する)合併症から、重度な(後遺症、死亡等も含めた)合併症までの報告があります。
他院での発生事例として、術後に血栓が後肢に発生、壊死したため断脚を余儀なくされたケースや、腎臓に血栓もしくは還流不全が発生し、腎不全に陥ったケース、術後数週間後にFIP(猫伝染性腹膜炎)を発症して死亡したネコちゃんのケース(周術期ストレスが発症に関与?)などが報告されています。
海外の報告では、2002~2004年の間に188000頭の動物を麻酔した中で、死亡率はイヌ0.05%、ネコ0.11%であったとされています。
そして麻酔に対するアナフィラキシーショックなどは、どんなに検査をし尽くしても現在の獣医療レベルでは予見できません。
おそらく今後も、麻酔のリスクを完全に0にすることはできないと思いますが、「安全な麻酔薬は存在しない。安全な麻酔法もない。存在するのは安全な麻酔医のみである。」を肝に銘じ 、少しでも0に近づける麻酔、手術を目指したいと思います。
季節を感じる頂き物
[No.231] 2014/10/29 (Wed) 23:58
お知らせ
[No.230] 2014/10/28 (Tue) 23:58
初の診察時間の変更のお知らせです。
12月19日(金)は、岡山市動物取扱責任者研修会参加のため、午前中は9時から12時まで、午後は17時半から20時までの診察時間とさせて頂きます。
ペットホテルをする際にどうしても必要な資格が「動物取扱責任者」なのですが、年に1回の研修会の参加が、「動物の愛護及び管理に関する法律」第22条第3項の規定によって義務づけられております。。。
13時から16時半までは、研修会参加中のため、電話応対もできなくなります。
飼い主様には大変ご迷惑をおかけしますが、予めご了承ください m(_ _)m
12月19日(金)は、岡山市動物取扱責任者研修会参加のため、午前中は9時から12時まで、午後は17時半から20時までの診察時間とさせて頂きます。
ペットホテルをする際にどうしても必要な資格が「動物取扱責任者」なのですが、年に1回の研修会の参加が、「動物の愛護及び管理に関する法律」第22条第3項の規定によって義務づけられております。。。
13時から16時半までは、研修会参加中のため、電話応対もできなくなります。
飼い主様には大変ご迷惑をおかけしますが、予めご了承ください m(_ _)m
犬の歯肉過形成に伴う口内炎について
[No.229] 2014/10/27 (Mon) 23:58
今日はご飯を食べた後に口の中を痛がるという主訴で、わんちゃんが来院されました。
触って口の中を診ようとすると怒ってしまい、どうしても診ることができなかったため、鎮静下で口腔内の精査を行うことになりました。
全体の歯を確認すると、奥の歯に歯石はかなりついていましたが、歯の露髄や齲歯(虫歯)などはなく、痛みの原因ではなさそうな様子でした。
スケーリング前。

スケーリング後。

しかし、奥歯の口腔粘膜を確認すると、歯肉が盛り上がっており、表面がびらんになっていて、口内炎になってしまっていました。

わんちゃんはネコちゃんほど口内炎は多くないのですが、このコは元々慢性的な皮膚病を患っていたので、口腔粘膜の免疫力も弱く、歯石による感染、炎症が波及したものと考えられました。
普段元気なコでも、年をとってくるにつれて免疫力も低下してきますので、その時に歯のことで困らないよう、日々のデンタルケアはしっかりしてあげたいですね。
触って口の中を診ようとすると怒ってしまい、どうしても診ることができなかったため、鎮静下で口腔内の精査を行うことになりました。
全体の歯を確認すると、奥の歯に歯石はかなりついていましたが、歯の露髄や齲歯(虫歯)などはなく、痛みの原因ではなさそうな様子でした。
スケーリング前。

スケーリング後。

しかし、奥歯の口腔粘膜を確認すると、歯肉が盛り上がっており、表面がびらんになっていて、口内炎になってしまっていました。

わんちゃんはネコちゃんほど口内炎は多くないのですが、このコは元々慢性的な皮膚病を患っていたので、口腔粘膜の免疫力も弱く、歯石による感染、炎症が波及したものと考えられました。
普段元気なコでも、年をとってくるにつれて免疫力も低下してきますので、その時に歯のことで困らないよう、日々のデンタルケアはしっかりしてあげたいですね。
「わんぱーく」さんの譲渡会
[No.228] 2014/10/26 (Sun) 23:19
受付のマスコット
[No.227] 2014/10/25 (Sat) 23:21
ノラ猫ちゃんの避妊手術×3
[No.226] 2014/10/23 (Thu) 23:58
昨日は嵐のような出来事があり、ブログ更新不可能な状態でした。
そのことはまた後日、ご報告できればと思います。
今日は、備前市から来られた飼い主様からのご依頼で、3頭の姉妹のノラちゃんの避妊手術をさせていただきました。
遠方から来られており、仕事もお忙しいとのことで、なかなか何度も病院に足を運ぶことが難しいのでということで、1日での手術を希望されました。
今まで、避妊手術は1日に2頭までしか入れたことがなかったので、もしかしたら1頭は夜の手術になるかもしれないとの条件を事前に受け入れていただき、手術をさせていただくことになりました。
結果は順調に進み、昼休みの4時間の間で、手術30分、手術器具の滅菌1時間のペースで、皆無事に手術を終えることができました。
夜8時のお迎え時には、しっかりと覚醒しており、無事退院となりました。
飼い主様の置かれている環境、諸事情などにより、どうしてもこの日でないと連れて来れないとか、病院に来られる日時の制限ができてしまう時があると思いますが、できるかぎりそのような切実なご要望には、お応えしたいと思っております。
そのことはまた後日、ご報告できればと思います。
今日は、備前市から来られた飼い主様からのご依頼で、3頭の姉妹のノラちゃんの避妊手術をさせていただきました。
遠方から来られており、仕事もお忙しいとのことで、なかなか何度も病院に足を運ぶことが難しいのでということで、1日での手術を希望されました。
今まで、避妊手術は1日に2頭までしか入れたことがなかったので、もしかしたら1頭は夜の手術になるかもしれないとの条件を事前に受け入れていただき、手術をさせていただくことになりました。
結果は順調に進み、昼休みの4時間の間で、手術30分、手術器具の滅菌1時間のペースで、皆無事に手術を終えることができました。
夜8時のお迎え時には、しっかりと覚醒しており、無事退院となりました。
飼い主様の置かれている環境、諸事情などにより、どうしてもこの日でないと連れて来れないとか、病院に来られる日時の制限ができてしまう時があると思いますが、できるかぎりそのような切実なご要望には、お応えしたいと思っております。
猫の椎体骨折について
[No.225] 2014/10/21 (Tue) 23:58
先日無事退院した、高所から落下してしまった猫ちゃんのお話です。
昼の時間外に来院され、両後肢が完全麻痺している状態でした。
レントゲン検査にて11番目の胸椎(T11)が骨折しているのが確認できました。

ちなみに前回の記事で、T12-T13の椎体脱臼と書いてしまったのですが、よく見ると、椎間の構造ははっきりと見えており、さらにこのコの場合は、腰の背骨(腰椎)が6つしかなかったのですね。
本来、犬猫の腰椎は7つあるのですが、たまに解剖学的な奇形で6つしかないコや、最後肋骨がほとんどなく、8つに見えてしまうコもいます。
今回みたいに明らかに骨がずれている場合は間違えようがないですが、椎間板ヘルニアの手術などでは、骨を削る位置を確認するために椎体の数や肋骨の位置を参考にするので、場所を間違えないように気をつける必要があります。
余談が長くなりましたが、体に激しい衝撃を受けているのは確実でしたので、内臓の損傷の可能性も疑い、先ず、状態の安定化を最優先に点滴治療を開始しました。
そして、状態が安定したところで、後肢麻痺と排尿障害が残ってしまったため、少しでも麻痺の改善させるため、神経の圧迫の解除と背骨の固定を目的とした手術をさせていただくことになりました。
手術は背側正中からアプローチし、筋肉を椎体から剥離し、骨折部分を露出しました。
そして、神経の圧迫解除のため、骨折部分の前後T10−T12の背中の骨を削りました(背側椎弓切除)。
削る直前にレントゲンで場所を確認しております。

背側椎弓切除後の写真。神経の圧迫が解除されているのが確認できます。

次に、出来るだけ神経が正常な位置になるように骨折面を合わせ、その前後の椎体に金属のプレートとスクリューで固定を行いました。

術後のレントゲン写真。
骨折部分の前後に2本ずつスクリューを入れています。

長丁場の手術になってしまいましたが、麻酔の覚醒も問題なく、無事に乗り切ってくれました。

後はしばらく安静ののち、ある程度期間を空けてから、少しずつリハビリを行いました。
退院時には、完全に歩けるようにはなれませんでしたが、排尿障害は改善し、後肢麻痺も完全麻痺から不全麻痺くらいに改善しました。
神経の回復には長期間要することも多いので、これからもリハビリで少しずつ麻痺が改善してくれることを期待しています。
昼の時間外に来院され、両後肢が完全麻痺している状態でした。
レントゲン検査にて11番目の胸椎(T11)が骨折しているのが確認できました。

ちなみに前回の記事で、T12-T13の椎体脱臼と書いてしまったのですが、よく見ると、椎間の構造ははっきりと見えており、さらにこのコの場合は、腰の背骨(腰椎)が6つしかなかったのですね。
本来、犬猫の腰椎は7つあるのですが、たまに解剖学的な奇形で6つしかないコや、最後肋骨がほとんどなく、8つに見えてしまうコもいます。
今回みたいに明らかに骨がずれている場合は間違えようがないですが、椎間板ヘルニアの手術などでは、骨を削る位置を確認するために椎体の数や肋骨の位置を参考にするので、場所を間違えないように気をつける必要があります。
余談が長くなりましたが、体に激しい衝撃を受けているのは確実でしたので、内臓の損傷の可能性も疑い、先ず、状態の安定化を最優先に点滴治療を開始しました。
そして、状態が安定したところで、後肢麻痺と排尿障害が残ってしまったため、少しでも麻痺の改善させるため、神経の圧迫の解除と背骨の固定を目的とした手術をさせていただくことになりました。
手術は背側正中からアプローチし、筋肉を椎体から剥離し、骨折部分を露出しました。
そして、神経の圧迫解除のため、骨折部分の前後T10−T12の背中の骨を削りました(背側椎弓切除)。
削る直前にレントゲンで場所を確認しております。

背側椎弓切除後の写真。神経の圧迫が解除されているのが確認できます。

次に、出来るだけ神経が正常な位置になるように骨折面を合わせ、その前後の椎体に金属のプレートとスクリューで固定を行いました。

術後のレントゲン写真。
骨折部分の前後に2本ずつスクリューを入れています。

長丁場の手術になってしまいましたが、麻酔の覚醒も問題なく、無事に乗り切ってくれました。

後はしばらく安静ののち、ある程度期間を空けてから、少しずつリハビリを行いました。
退院時には、完全に歩けるようにはなれませんでしたが、排尿障害は改善し、後肢麻痺も完全麻痺から不全麻痺くらいに改善しました。
神経の回復には長期間要することも多いので、これからもリハビリで少しずつ麻痺が改善してくれることを期待しています。
猫の横隔膜ヘルニアについて
[No.224] 2014/10/20 (Mon) 23:41
先日、台風の日に手術させて頂いた猫ちゃんのお話です。
交通事故に遭ってしまい、その後だんだん元気がなくなってきたとのことで来院されました。
診させて頂くと、明らかに呼吸状態が悪かったため、X線検査を行ったところ、横隔膜ヘルニアが見つかりました。

徐々に状態が悪化しているとのことでしたので、緊急手術が必要と判断し、手術をさせて頂きました。
剣状突起から臍の後方まで腹部正中切開をし、横隔膜を確認したところ、腹腔の円周方向に大きく破れており、肝臓や小腸、腹腔内脂肪が、胸腔内に逸脱しておりました。

先ず逸脱した臓器を元の位置にゆっくりと整復し、その後、深部のヘルニア孔は破れている横隔膜同士を縫合し、円周方向に破れている横隔膜は腹壁と縫合しました。

縫合はテンションがかかりすぎて横隔膜がちぎれないよう単純結紮を避け、水平マットレス縫合にて縫合しました。

そして、術後の合併症の可能性のある気胸、胸水の抜去のため、念のため胸腔ドレーンを設置しました。

閉腹時の写真。傷口はこれぐらい大きくなってしまいます。

術後のレントゲン写真。
臓器は元ある場所にキレイに戻っています。
気胸になっているため、心臓が胸骨から浮いているように写っています。

術後管理は、圧迫を受けていた臓器の圧迫が解除されることによる再還流障害、特に猫では肺が急に膨らむことによって起こる再膨張性肺水腫が起きる可能性があるため、呼吸状態を注意深く看ていく必要があります。

酸素室内で治療中の写真です。
幸い合併症を起こさず、順調に回復したため、2日後に胸腔ドレーンを抜去、一般入院室に移動後も問題なかったので、その2日後に退院となりました。

退院前のレントゲン写真。
気胸が改善されており、心臓が正常な位置で確認できます。
教科書的には、外傷性横隔膜ヘルニアの手術の成功率は85%と言われ、再発率は5%と書かれています。
あとは再発しないことを祈るばかりですが、とりあえずは無事に元気に退院でき、本当に良かったと思います。
交通事故に遭ってしまい、その後だんだん元気がなくなってきたとのことで来院されました。
診させて頂くと、明らかに呼吸状態が悪かったため、X線検査を行ったところ、横隔膜ヘルニアが見つかりました。

徐々に状態が悪化しているとのことでしたので、緊急手術が必要と判断し、手術をさせて頂きました。
剣状突起から臍の後方まで腹部正中切開をし、横隔膜を確認したところ、腹腔の円周方向に大きく破れており、肝臓や小腸、腹腔内脂肪が、胸腔内に逸脱しておりました。

先ず逸脱した臓器を元の位置にゆっくりと整復し、その後、深部のヘルニア孔は破れている横隔膜同士を縫合し、円周方向に破れている横隔膜は腹壁と縫合しました。

縫合はテンションがかかりすぎて横隔膜がちぎれないよう単純結紮を避け、水平マットレス縫合にて縫合しました。

そして、術後の合併症の可能性のある気胸、胸水の抜去のため、念のため胸腔ドレーンを設置しました。

閉腹時の写真。傷口はこれぐらい大きくなってしまいます。

術後のレントゲン写真。
臓器は元ある場所にキレイに戻っています。
気胸になっているため、心臓が胸骨から浮いているように写っています。

術後管理は、圧迫を受けていた臓器の圧迫が解除されることによる再還流障害、特に猫では肺が急に膨らむことによって起こる再膨張性肺水腫が起きる可能性があるため、呼吸状態を注意深く看ていく必要があります。

酸素室内で治療中の写真です。
幸い合併症を起こさず、順調に回復したため、2日後に胸腔ドレーンを抜去、一般入院室に移動後も問題なかったので、その2日後に退院となりました。

退院前のレントゲン写真。
気胸が改善されており、心臓が正常な位置で確認できます。
教科書的には、外傷性横隔膜ヘルニアの手術の成功率は85%と言われ、再発率は5%と書かれています。
あとは再発しないことを祈るばかりですが、とりあえずは無事に元気に退院でき、本当に良かったと思います。
犬のスケーリング
[No.223] 2014/10/19 (Sun) 23:54
犬の避妊手術について4
[No.222] 2014/10/17 (Fri) 23:59
犬の去勢手術とスケーリング
[No.221] 2014/10/16 (Thu) 23:58
憩いのひととき
[No.220] 2014/10/15 (Wed) 22:30
近況など
[No.219] 2014/10/14 (Tue) 23:54
前回、自分の体調を心配させてしまうようなことを書いてしまい、皆様から温かいお言葉をかけて頂きました。
本当にありがとうございます。
今は全然元気ですので、心配なさらないでくださいね。
最近はというと、台風の日に交通事故で来られたネコちゃんが横隔膜ヘルニアになってしまっていて、緊急手術をしたり、肺炎を起こしているわんちゃんを酸素室で治療したり、3日前からお腹が腫れて苦しそうにしていたわんちゃんが、来院時には呼吸停止して亡くなってしまっていたりと、重い病気のコを診させて頂いておりました。
やはり病気はいつ起きるかわからないので、何かおかしいと思ったら早め早めのケアをしていただきたいと思います。
本当にありがとうございます。
今は全然元気ですので、心配なさらないでくださいね。
最近はというと、台風の日に交通事故で来られたネコちゃんが横隔膜ヘルニアになってしまっていて、緊急手術をしたり、肺炎を起こしているわんちゃんを酸素室で治療したり、3日前からお腹が腫れて苦しそうにしていたわんちゃんが、来院時には呼吸停止して亡くなってしまっていたりと、重い病気のコを診させて頂いておりました。
やはり病気はいつ起きるかわからないので、何かおかしいと思ったら早め早めのケアをしていただきたいと思います。
健康でいることの重要性
[No.218] 2014/10/12 (Sun) 23:58
普段健康な僕ですが、年に1、2回くらいは熱が出てしんどくなったり、腹痛、嘔吐、下痢などで苦しむことがあります。
その時はやはり、普段の健康でいることの状態がいかに幸せなことなのかを実感します。
わんちゃん、ねこちゃんも、病気でしんどいときはこんな気持ちなのかなと推察します。
なので、普段から健康への意識を高め、防げる病気に関しては、あらかじめ予防しておくのがいいですね。
ウイルスの感染症に関しては、ワクチンでしか予防できないですし、フィラリアもかかってしまってからは、虫体の駆虫が治療の中心で、心臓を元通りにする治療法はありません。
他にもノミダニ予防や、避妊、去勢手術で予防できる病気もありますね。
今ちょっと微熱でしんどいので、ふとこんなことを考えてしまいました。
その時はやはり、普段の健康でいることの状態がいかに幸せなことなのかを実感します。
わんちゃん、ねこちゃんも、病気でしんどいときはこんな気持ちなのかなと推察します。
なので、普段から健康への意識を高め、防げる病気に関しては、あらかじめ予防しておくのがいいですね。
ウイルスの感染症に関しては、ワクチンでしか予防できないですし、フィラリアもかかってしまってからは、虫体の駆虫が治療の中心で、心臓を元通りにする治療法はありません。
他にもノミダニ予防や、避妊、去勢手術で予防できる病気もありますね。
今ちょっと微熱でしんどいので、ふとこんなことを考えてしまいました。
迷子猫のお知らせ
[No.217] 2014/10/11 (Sat) 22:57
糖尿病を紐解く4
[No.216] 2014/10/10 (Fri) 23:57
さて、前回は糖尿病を放置すると、代謝異常が起こり、最終的に「糖尿病性ケトアシドーシス」を起こし、命を落としてしまう、という話をしました。
今回は、糖尿病になる原因の種類についてお話したいと思います。
糖尿病は、インスリンが不足する、あるいはうまく細胞に作用しないことによって起こる病気です。
ヒトでは大きく2つのタイプに分類されています。
インスリンが全く分泌されなくなるタイプを1型、分泌量が減ったり、うまくインスリンが使われないタイプを2型と呼びます。
日本では、ヒトの糖尿病の95%が肥満や運動不足などの生活習慣に伴う2型糖尿病と言われています。
そして、犬や猫の糖尿病の場合、犬は1型、猫は2型に近いものが多いとされています。
このように、犬と猫では、糖尿病になる原因のタイプが異なるので、治療の内容が変わってくるのですね。
犬の場合は、インスリンが作られなくなってしまっているので、インスリンの投与は欠かせず、生涯にわたってインスリン治療が必要になります。
猫の場合は、インスリンが少し作られていて、それがうまく機能していないだけであれば、それを補助するようなインスリン治療や食事療法によって、インスリン治療から離脱できる可能性があります。
ちなみにインスリンはどこから作られるかご存知でしょうか?
答えは膵臓です。
正確には、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンです。
なので、膵炎が原因でβ細胞が破壊され、糖尿病になってしまうこともあり、特に猫は膵炎になりやすいので要注意ですね。
今回は、糖尿病になる原因の種類についてお話したいと思います。
糖尿病は、インスリンが不足する、あるいはうまく細胞に作用しないことによって起こる病気です。
ヒトでは大きく2つのタイプに分類されています。
インスリンが全く分泌されなくなるタイプを1型、分泌量が減ったり、うまくインスリンが使われないタイプを2型と呼びます。
日本では、ヒトの糖尿病の95%が肥満や運動不足などの生活習慣に伴う2型糖尿病と言われています。
そして、犬や猫の糖尿病の場合、犬は1型、猫は2型に近いものが多いとされています。
このように、犬と猫では、糖尿病になる原因のタイプが異なるので、治療の内容が変わってくるのですね。
犬の場合は、インスリンが作られなくなってしまっているので、インスリンの投与は欠かせず、生涯にわたってインスリン治療が必要になります。
猫の場合は、インスリンが少し作られていて、それがうまく機能していないだけであれば、それを補助するようなインスリン治療や食事療法によって、インスリン治療から離脱できる可能性があります。
ちなみにインスリンはどこから作られるかご存知でしょうか?
答えは膵臓です。
正確には、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンです。
なので、膵炎が原因でβ細胞が破壊され、糖尿病になってしまうこともあり、特に猫は膵炎になりやすいので要注意ですね。
週末に向けて
[No.215] 2014/10/09 (Thu) 23:50
徐々にペットホテルが一杯になってきました。
現在わんちゃん6頭、猫ちゃん1頭お預かりさせて頂いております。
明日もわんちゃんを1頭お預かりする予定です。
少しずつペットホテルを利用してくださる方も増え、有り難い限りです。
急な予定や旅行などで、ペットホテルが必要なときは是非ご利用頂けたらと思います。
現在わんちゃん6頭、猫ちゃん1頭お預かりさせて頂いております。
明日もわんちゃんを1頭お預かりする予定です。
少しずつペットホテルを利用してくださる方も増え、有り難い限りです。
急な予定や旅行などで、ペットホテルが必要なときは是非ご利用頂けたらと思います。
仔犬、仔猫ちゃんの診療
[No.214] 2014/10/08 (Wed) 23:58
昨日は、生後2週間くらいの仔猫ちゃんが、急性の嘔吐下痢の症状で夜中の時間外に来院され、今日は3ヶ月齢、600gのポメラニアンのコが前肢のびっこで同じく時間外に来院されました。
仔犬や仔猫ちゃんは、環境や気候の変化に影響を受けやすく、体力や病気に対する抵抗力も弱いです。
また、怖いもの知らずなので、高い所から落ちたり、異物を誤飲したりと、思わぬ怪我を起こしやすいです。
普段から気をつけて頂くのが一番ですが、もし怪我や病気を発見したら、治療が後手に回ると場合によっては命に関わるケースもあるので、出来るだけ早く病院にご相談していただけたらと思います。
仔犬や仔猫ちゃんは、環境や気候の変化に影響を受けやすく、体力や病気に対する抵抗力も弱いです。
また、怖いもの知らずなので、高い所から落ちたり、異物を誤飲したりと、思わぬ怪我を起こしやすいです。
普段から気をつけて頂くのが一番ですが、もし怪我や病気を発見したら、治療が後手に回ると場合によっては命に関わるケースもあるので、出来るだけ早く病院にご相談していただけたらと思います。
頂き物のご紹介
[No.213] 2014/10/07 (Tue) 23:58
台風と避妊手術とスケーリング
[No.212] 2014/10/06 (Mon) 23:27
わんぱーくさんの譲渡会
[No.211] 2014/10/05 (Sun) 23:44
昨日は時間外の診察に追われ、ブログの更新ができませんでした。
本当に申し訳ありませんm(_ _)m
さて、またまた「わんぱーく」さん主催の譲渡会が当院で行われることになりました。
日時は10月26日の日曜日、午後2時から5時になります。
今回で3回目になりますが、1回目も2回目も、多くのわんちゃんねこちゃんが、素晴らしい飼い主様に出会い、迎えられることができましたので、今回もその手助けができればいいなと思います。
詳細などについては「わんぱーく」さんにお問い合わせください。
本当に申し訳ありませんm(_ _)m
さて、またまた「わんぱーく」さん主催の譲渡会が当院で行われることになりました。
日時は10月26日の日曜日、午後2時から5時になります。
今回で3回目になりますが、1回目も2回目も、多くのわんちゃんねこちゃんが、素晴らしい飼い主様に出会い、迎えられることができましたので、今回もその手助けができればいいなと思います。
詳細などについては「わんぱーく」さんにお問い合わせください。
ネギの誤飲
[No.210] 2014/10/03 (Fri) 23:59
今日は時間外で、ネギを誤飲してしまったわんちゃんを診させて頂きました。
幸い早めに連れてきていただいたおかげで、催吐処置にて、未消化のネギを吐かせることができました。
ご存知の通り、犬や猫はタマネギやネギ、ニンニク、ニラなど、Allium属植物を採食すると、「タマネギ中毒」を起こしてしまいます。
タマネギ中毒とは、これらの植物に含まれる多様な酸化剤の赤血球酸化障害作用に起因して発症するハインツ小体性溶血性貧血のことです。
。。。ちょっとわかりづらいですね。
「風が吹くと桶屋が儲かる」的な要約をすると、タマネギを食べると、貧血が起きてしまい、命に関わる状態になってしまうのです。
そして、なぜ貧血が起きるのかというと、赤血球が破壊されるからです。
なぜ赤血球が破壊されるかというと、ネギ類に含まれる硫黄化合物、これは独特のネギ臭の原因となっている物質ですが、それが、赤血球に「酸化障害」というダメージを与えるからです。
「酸化障害」のダメージを受けた赤血球は、凝集沈殿して「ハインツ小体」という物質に変形します。
赤血球が破壊されることを「溶血」というので、これをまとめて、「ハインツ小体性溶血性貧血」と呼びます。
ちなみに、犬よりも猫の方が、赤血球の酸化障害を受けやすいと言われていますが、猫自身がネギの臭気を嫌って食べようとしないため、猫のタマネギ中毒は本の中でしか見たことがありません。
長くなってしまいましたが、このような機序で貧血が起こるので、タマネギ中毒の治療は、酸化障害に対する抗酸化処置(ビタミンEやビタミンCなど)、貧血に対する対症療法(輸血など)が行われます。
いずれにせよ、原因物質の除去が一番の治療法になるので、万が一誤飲してしまった場合は、速やかに吐かせてあげたほうがいいですね。
幸い早めに連れてきていただいたおかげで、催吐処置にて、未消化のネギを吐かせることができました。
ご存知の通り、犬や猫はタマネギやネギ、ニンニク、ニラなど、Allium属植物を採食すると、「タマネギ中毒」を起こしてしまいます。
タマネギ中毒とは、これらの植物に含まれる多様な酸化剤の赤血球酸化障害作用に起因して発症するハインツ小体性溶血性貧血のことです。
。。。ちょっとわかりづらいですね。
「風が吹くと桶屋が儲かる」的な要約をすると、タマネギを食べると、貧血が起きてしまい、命に関わる状態になってしまうのです。
そして、なぜ貧血が起きるのかというと、赤血球が破壊されるからです。
なぜ赤血球が破壊されるかというと、ネギ類に含まれる硫黄化合物、これは独特のネギ臭の原因となっている物質ですが、それが、赤血球に「酸化障害」というダメージを与えるからです。
「酸化障害」のダメージを受けた赤血球は、凝集沈殿して「ハインツ小体」という物質に変形します。
赤血球が破壊されることを「溶血」というので、これをまとめて、「ハインツ小体性溶血性貧血」と呼びます。
ちなみに、犬よりも猫の方が、赤血球の酸化障害を受けやすいと言われていますが、猫自身がネギの臭気を嫌って食べようとしないため、猫のタマネギ中毒は本の中でしか見たことがありません。
長くなってしまいましたが、このような機序で貧血が起こるので、タマネギ中毒の治療は、酸化障害に対する抗酸化処置(ビタミンEやビタミンCなど)、貧血に対する対症療法(輸血など)が行われます。
いずれにせよ、原因物質の除去が一番の治療法になるので、万が一誤飲してしまった場合は、速やかに吐かせてあげたほうがいいですね。
肛門嚢(のう)の自壊
[No.209] 2014/10/02 (Thu) 23:52
今日は、お尻から出血したとの主訴で、チワワのコが来院されました。
診させて頂くと、右側の肛門嚢が自壊しており、皮膚に穴があいておりました。
肛門嚢は、肛門の下と外腹側にある内・外肛門括約筋の間にある球状の嚢で、両側に一つずつあります。
この嚢には、臭いにおいがする液体が入っています。
この液体は、興奮した時や怖い思いをした時や、緊張した時などに自然に排出されるものです。
しかし、それが上手く排出されないでいると病気になります。
肛門嚢炎は、排出されず嚢内に貯留した分泌物が化膿し、炎症を起こしてしまう病気です。
発症すると、肛門部を地面や床、じゅうたんにこすりつけ、舐めたり、排便時にいきむような姿勢をとったりします。
これが長く続くと、膿が嚢内にどんどんたまり、やがて破裂し、皮膚に穴があいてしまうのです。
肛門嚢が破裂すると、当然のことながらとても痛いですし、消炎剤、抗生物質による治療が必要になります。
そうなる前に、予防的に月1回くらいのペースで肛門腺絞りをしたり、お尻を気にする仕草がみられたら早めに病院に連れて行って頂けたらと思います。
特に、今回のようなチワワやトイプードル、ミニチュアダックスなどの小型犬や、高齢のわんちゃんねこちゃんはなりやすいので要注意ですね。
診させて頂くと、右側の肛門嚢が自壊しており、皮膚に穴があいておりました。
肛門嚢は、肛門の下と外腹側にある内・外肛門括約筋の間にある球状の嚢で、両側に一つずつあります。
この嚢には、臭いにおいがする液体が入っています。
この液体は、興奮した時や怖い思いをした時や、緊張した時などに自然に排出されるものです。
しかし、それが上手く排出されないでいると病気になります。
肛門嚢炎は、排出されず嚢内に貯留した分泌物が化膿し、炎症を起こしてしまう病気です。
発症すると、肛門部を地面や床、じゅうたんにこすりつけ、舐めたり、排便時にいきむような姿勢をとったりします。
これが長く続くと、膿が嚢内にどんどんたまり、やがて破裂し、皮膚に穴があいてしまうのです。
肛門嚢が破裂すると、当然のことながらとても痛いですし、消炎剤、抗生物質による治療が必要になります。
そうなる前に、予防的に月1回くらいのペースで肛門腺絞りをしたり、お尻を気にする仕草がみられたら早めに病院に連れて行って頂けたらと思います。
特に、今回のようなチワワやトイプードル、ミニチュアダックスなどの小型犬や、高齢のわんちゃんねこちゃんはなりやすいので要注意ですね。
糖尿病を紐解く3
[No.208] 2014/10/01 (Wed) 23:58
前回の続きです。
前回は持続的に高血糖になることが、多飲多尿、脱水につながることを解説しました。
今回は、その状態を放置しておくとどうなってしまうのかを説明したいと思います。
まず、インスリンは、血液中の糖分を細胞内に取り込むためのカギのような役割をしています。
なので、インスリンが足りなくなってしまうと、エネルギーの元となる糖分を内蔵や筋肉に送ることができなくなってしまうのです。
そうすると、内蔵や筋肉の細胞はエネルギー不足状態となってしまいます。
糖分からエネルギーを取れなくなると、生体はなんとかエネルギーを生み出そうと、蓄積している脂肪をエネルギーに変えようとします。
脂肪をエネルギーに変えると、その搾りかすとして「ケトン体」というものが体内に溜まります。
糖分が取り込めないと、どんどん脂肪を使うことになってしまうので、ケトン体もどんどん溜まってしまいます。
ケトン体は酸性物質ですので、体内に蓄積すると、血液の酸性度が上昇した「アシドーシス」と呼ばれる状態となり、この状態になってしまうと、嘔吐などの消化器症状、沈鬱から昏睡にいたる神経症状を起こし、命を落とします。
この状態では尿中にもケトン体が検出されるようになり、このようなエマージェンシーな状態のことを「糖尿病性ケトアシドーシス」と呼びます。
糖尿病性ケトアシドーシスは、急性膵炎、急性腎不全とならんで、致命的で救急の点滴治療が必要な病気です。
適切に血糖値がコントロールされていれば、ケトアシドーシスになることはないので、できればこのような状態にならないように、治療していくことが重要です。
前回は持続的に高血糖になることが、多飲多尿、脱水につながることを解説しました。
今回は、その状態を放置しておくとどうなってしまうのかを説明したいと思います。
まず、インスリンは、血液中の糖分を細胞内に取り込むためのカギのような役割をしています。
なので、インスリンが足りなくなってしまうと、エネルギーの元となる糖分を内蔵や筋肉に送ることができなくなってしまうのです。
そうすると、内蔵や筋肉の細胞はエネルギー不足状態となってしまいます。
糖分からエネルギーを取れなくなると、生体はなんとかエネルギーを生み出そうと、蓄積している脂肪をエネルギーに変えようとします。
脂肪をエネルギーに変えると、その搾りかすとして「ケトン体」というものが体内に溜まります。
糖分が取り込めないと、どんどん脂肪を使うことになってしまうので、ケトン体もどんどん溜まってしまいます。
ケトン体は酸性物質ですので、体内に蓄積すると、血液の酸性度が上昇した「アシドーシス」と呼ばれる状態となり、この状態になってしまうと、嘔吐などの消化器症状、沈鬱から昏睡にいたる神経症状を起こし、命を落とします。
この状態では尿中にもケトン体が検出されるようになり、このようなエマージェンシーな状態のことを「糖尿病性ケトアシドーシス」と呼びます。
糖尿病性ケトアシドーシスは、急性膵炎、急性腎不全とならんで、致命的で救急の点滴治療が必要な病気です。
適切に血糖値がコントロールされていれば、ケトアシドーシスになることはないので、できればこのような状態にならないように、治療していくことが重要です。